 
                                    GV主導で2億ドル調達、Synthesiaは40億ドル評価
テキストから動画への自動化競争が加速する中、ロンドンのスタートアップ Synthesia が2億ドルを調達し、評価額は40億ドルに到達した。年初からの短期間で評価が倍増し、企業の動画制作の常識が塗り替わりつつある。
フォーブスによると、このラウンドはアルファベットが支えるグーグル・ベンチャーズが主導し、Nvidia、Atlassian Ventures、Kleiner Perkins、PSP Growth、First Mark、Accelが参加した。1月の1億8,000万ドルのシリーズDに続く今回の資金で、 Synthesia の累計調達額は5億ドルを超えた。
同社のプラットフォームはテキストプロンプトをナレーション付きクリップに変換し、140以上の言語を自然に話す人間風アバターのカタログを提供する。企業は研修、セールス支援、マーケティングに活用し、SAP、Merck、Heineken、Zoom、Boschなどが顧客だ。フォーチュン100の9割超が採用する状況は、 Synthesia をカメラ不要の動画制作における事実上の定番へと押し上げた。
テキスト・トゥ・ビデオの主戦場にはOpenAIのSoraのような大型プロジェクトもあるが、このロンドン企業はエンタメではなく業務用途に軸足を置く。CEOのヴィクター・リパルベリは、企業プレゼンターや人間クローンを用いたコンテンツに焦点を絞る方針を示してきた。こうした姿勢が Synthesia を映画的表現や一般消費者向けクリエイションを志向するプラットフォームと差別化する。
戦略投資家の関心も高い。年初にはアドビのベンチャー部門が金額非公開の出資を行い、その後に約30億ドルでの買収提案が報じられたが、同社は応じなかった。この判断は、継続的な企業需要とモデル性能の改善がより大きな成果をもたらすとの Synthesia の見立てを示す。
今回の資金は、多言語かつコンプライアンス対応の動画をスタジオではなくソフトウェアが供給するという企業コミュニケーションの構造変化に重なる。グーグル・ベンチャーズやNvidiaの支援は、計算資源と生成技術の進化がコストを下げ市場を拡張するとの期待を映す。規制が強まる欧州でロンドン発の Synthesia が前線を切り拓く姿は、商用化の道筋を占う試金石と言える。
 
                        
                        テクノロジーがビジネスや日常生活にどのような価値をもたらすのかを、
バランスよく伝えます。
 
                