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グーグルとリライアンス、Jio 5Gに18カ月無料の Gemini Pro 提供

掲載日: 2025年10月31日. 21:15
Lena Choi

インドの通信市場でバンドル競争が加速する今、グーグルとリライアンスはJio Unlimited 5Gの加入者に18カ月間の無料パッケージを提供することで合意した。まず18歳から25歳の利用者に提供を始め、対象を広げていく計画で、若年層に向けた看板機能として Gemini Pro を押し出す布陣となる。

対象ユーザーはGeminiアプリでGemini 2.5 Proモデルにアクセスでき、Nano BananaとVeo 3.1による高度な画像と動画の生成機能を利用できるほか、学習とリサーチにNotebookLMの拡張アクセスが付く。さらにGoogleフォト、Gmail、ドライブ、Android端末のWhatsAppバックアップを含む2TBのクラウドストレージが加わり、 Gemini Pro は会話エンジンにとどまらない生産性とメディアの一体型パッケージとして位置付けられる。

オファーの有効化はMyJioアプリから行い、Jio Unlimited 5Gのユーザーは最初の18カ月間、無料で利用できる。開始時は18歳から25歳に限定され、その後インド全土の適格顧客へ拡大する予定で、特典の総額は1人当たり約3万5,100ルピー相当とグーグルが説明している。価格の目安が示されたことで Gemini Pro は競合するサブスクリプションとの比較軸を得たことになる。

同様の取り組みは他社にも広がっている。エアテルは7月にPerplexityと提携し、3億6,000万人のユーザーに12カ月のPerplexity Proを無償提供すると発表し、OpenAIは11月4日からインドの全ユーザーにChatGPT Goを無料で提供すると述べた。通信プランが生成型アシスタントの流通経路になる流れの中で、 Gemini Pro はバンドル型の選択肢が増える市場に並び立つ。

今回の動きは、リライアンスがグーグルとメタと組んで新たなユニットを立ち上げ、基盤技術の構築と統合に取り組むと発表した後に続く。モデル開発や計算インフラ、リライアンスのデジタル生態系全体での大規模展開を共同で進めており、配布網とモデルを同時に設計する潮流のショーケースとして Gemini Pro が活用される構図が浮かぶ。

動画とメディアの文脈では、Veo 3.1と画像生成機能をクラウドストレージと一緒に束ねることが、通信プランの内部でマルチモーダル制作を標準化する狙いを示している。キャプチャから保存までのワークフローを一つの契約に収める発想は5Gの差別化に直結し、 Gemini Pro を動画生成と知識管理の入口に据える含意がある。

投資の観点では、巨大なモバイル人口を抱える市場でインフラとモデル展開に資金が向かう構図を後押しする動きと捉えられる。通信事業者とプラットフォームの提携は獲得コストの低減と利用拡大を促し、個人アシスタントとストレージ、メディア機能を一体で提供する契約が増えるとの見方が強まる。企業にとっては Gemini Pro のような機能が接続サービスに溶け込む未来が近づき、エンタープライズのコンテンツ運用がネットワークのように常用の設備へ変わる兆しと映る。

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By Lena Choi lena.choi@aitoolsbee.com さまざまなAIツールを直接試し、その活用性と限界を分析します。
ユーザー中心の視点で、生産性向上やクリエイティブの変化を描き出します。