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ADNOCとマスダール、XRGとMSがエネルギーとDCでAI連携

掲載日: 2025年11月3日. 15:34
Rowan Lee

ADNOC、マスダール、XRG、マイクロソフトが協業を発表し、エネルギー企業とクラウド大手の結節点で運用とデータセンター全体のAI deployment を拡張する動きが鮮明になった。アブダビのENACT MajlisでADIPECに先立って公表された本提携は、ADNOCとマイクロソフトの既存関係を強化し、マスダールとXRGのクリーンエネルギー力を加えるものだ。狙いはADNOCのバリューチェーン全体で人工知能の活用を加速し、マイクロソフトのグローバル拡張を支える電力ソリューションを届けることにある。

各社は自律運転に近づけ、効率を高め、排出を抑えるためのAIエージェントを共同で開発・展開する計画だ。マイクロソフトは先進ツールと研修を提供し、両者はエネルギー分野の次世代ソリューションを育てる共同イノベーション生態系の創出も検討している。成果が出れば重工業で再現可能なAI deployment の設計図となり得る。

今回のメッセージは、ソフトウエアの内製化と計算需要に見合う電力供給の再設計という二つの課題を同時に進める意思を示し、AI deployment を運用刷新と電力課題の双方として位置付けた。UAE産業・先端技術相でADNOCのMD兼グループCEO、XRGのエグゼクティブチェアマンでマスダール会長のスルタン・アーメド・アル・ジャーベル氏は「産業全体で価値の創出と高度化のあり方が変わりつつあるなか、ADNOC、マスダール、XRGはオペレーションの隅々にAIを組み込み、AIそのものを動かすエネルギーシステムも前進させている」と述べた。同氏は「マイクロソフトとの提携により、AIの未来に燃料を供給し、パフォーマンスを高め、事業を将来に備える新たな機会が開ける」と続けた。

ADNOCは足元の実績でも先行する。2023年11月にはマイクロソフトのCopilotを用い、エネルギー企業として初めて生成AIを全社導入し、4万人超が研修を修了、利用率は90%超、月間で7万時間を上回る生産性向上を記録した。これらの成果は、実証段階ではなく既に確立したAI deployment の大規模展開という文脈を与える。

マイクロソフトは本件をデータセンター時代にふさわしい協調アプローチと位置づけた。マイクロソフトの副会長兼社長ブラッド・スミス氏は「この瞬間に単独で応えられる企業や業界はない」と語り、「より持続可能で安全かつ包摂的なエネルギーの未来への移行には、政府、エネルギー事業者、テクノロジー企業、世界中のイノベーターの深い協力が不可欠だ」と述べた。こうした枠組みはAI deployment のガバナンスにも直結するとの見方だ。

アブダビが世界的なエネルギー・イノベーション拠点としての地位を固めようとするなか、今回の合意はADNOCの産業基盤、マイクロソフトのデジタル能力、マスダールとXRGのクリーンエネルギーの知見を企画から運用まで一本の流れで束ねた。ADNOCとマイクロソフトが共同で発行した2025 Powering Possibleレポートは、850人超の専門家の見解を踏まえ、業界変革の輪郭を示している。インフラとソフトの投資判断が一体で進む流れが定着すれば、湾岸から世界のクラウド地域までAI deployment 戦略の作り方を方向付けるだろう。

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By Rowan Lee rowan.lee@aitoolsbee.com 主要なAIツールや業界トレンドを実用的な視点から取り上げます。
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